◆委員(井上ノエミ君)
まず、予算の施行実績報告書103ページの保育園の指定管理者についてお伺いします。
平成28年度には、区立保育園は全部で29園あり、そのうち、六つの保育園が指定管理者によって管理運営されています。墨田区の保育園整備計画では、今後、亀沢保育園と長浦保育園は指定管理者になります。また、さらに指定管理者の導入は拡大する見込みです。これに対して区民の中からは反対意見も多いです。私は、待機児童対策のために保育園を増やさなければなりませんから、民営化は必要だと思います。しかし、指定管理者の導入に対する区民の心配は重く受け止める必要があります。大事なことは、墨田区がしっかりと保育園を監督して、保育の質を担保することです。しっかりした監督を実施していることが保護者に安心感を与えます。
そこで伺いますが、墨田区は平成25年と26年にひきふね保育園とさくら保育園に対して、労働環境モニタリングを実施しました。そのモニタリングの内容と経過はどのようでしたか、お伺いします。
また、平成27年と28年に、保育園の労働環境モニタリングを実施していれば、その結果も教えてください。
◎企画経営室長(関口芳正君)
労働環境モニタリングにつきましては、企画経営室が契約をしてございますので、私のほうからお答えさせていただきます。
本区では、平成25年から社会保険労務士に委託し、書類確認及びヒアリング等により、労働環境モニタリングを行っており、原則、指定期間2年目の施設でこれまでモニタリングの対象となってきていない法人を対象に行っております。保育園につきましては、25年と26年にひきふね保育園と横川さくら保育園を、27年にきんし保育園を行っており、28年度については対象園はございません。モニタリング結果につきましては、おおむね問題なく行われておりますが、実労働が8時間を超えた場合の休憩時間の定めや労働者代表の選出方法などについて指摘がございました。これにつきましては、改善されていることを確認しております。
◆委員(井上ノエミ君)
保育所の労働環境がきちんとしているかは大変重要だと思います。労働環境が悪い、いわゆるブラックな職場では、子どもたちを安心して預けることはできません。この労働環境モニタリングは大変大事だと思います。是非、指定管理者の全ての保育園に対して定期的な労働環境モニタリングは実施していただきたいと思いますが、ご見解を伺います。
また、墨田区はこのモニタリングの結果については、保育園の名前は公表していません。私は、保育園の名前と改善すべき点を公開する必要があると思いますが、ご見解をお伺いします。
◎企画経営室長(関口芳正君)
労働環境モニタリングは、平成25年以降、モニタリング対象となったことのない法人を対象に段階的に行ってきました。平成30年度を目途におおむね全ての法人のモニタリングが完了する予定です。定期的な労働環境モニタリングをすべきとのご意見についてですが、これまで指定期間中に一度はモニタリングを実施してきていることから、これらを基本に検討させていただきたいと考えております。
次に、保育園名の公表についてですが、労働環境モニタリングは、適切な労働環境で職員が働くことで、利用者にも安心して施設を利用していただくために行っておりますので、現在施設単位での指摘内容の公表は行っておりませんが、ご意見の趣旨を踏まえ、検討させていただきます。
◆委員(井上ノエミ君)
次に、指定管理者の保育園の事業評価について伺います。
東京都は保育園の第三者評価を実施しています。墨田区は、労働環境モニタリング以外にも保育園に対して事業評価をやっているのでしょうか。実際に墨田区の職員が保育所に行って事業を評価することはしているのでしょうか、お伺いします。
◎子ども施設課長(金子明君)
区は、保育園の指定管理者に対する労働環境モニタリング以外の事業評価といたしまして、指定管理者から月次、年次で提出される各種報告書や実際に区の職員が保育園に出向くことによる実地調査等を踏まえて、毎年度末に指定管理者が実施する業務内容について評価を行っているところです。また、指定管理者に対しましても、施設の利用者アンケート等に基づいて、自己評価するセルフモニタリングを義務付けているところでございます。なお、保育園につきましては、福祉施設ということでございますので、指定管理者に東京都福祉サービス第三者評価の受診を義務付けておりまして、原則として3年に一度の受診を行っているところでございます。
◆委員(井上ノエミ君)
次に、指定管理者の法人情報の公開についてお伺いします。
保育園では死亡事故の可能性もあります。指定管理者について、区民がインターネットで調べて、この指定管理者なら大事な子どもを預けられると安心できるように、それぞれの法人情報は公開されている必要があります。また、墨田区報や区のホームページでも指定管理者の概要について説明する必要があると思います。ひきふね保育園の指定管理者である社会福祉法人愛理会と押上保育園の指定管理者である社会福祉法人雲柱社のホームページを見ました。この二つの社会福祉法人は、平成28年3月に公布された社会福祉法の一部を改正する法律に従って必要な情報を全て公開しています。大変しっかりした法人である印象を受けました。
そこで伺いますが、墨田区が指定管理者を選ぶ場合には、このように情報公開をしっかり実施していることを一つの基準にするべきと考えますが、どのように考えますか、お伺いします。
また、現在の指定管理者である社会福祉法人が法律に従って情報公開をしていない場合には、墨田区としてどのように対処しますか、お伺いします。
◎子育て支援課長(浮田康宏君)
区では、保育所の指定管理者を募集する際に、その要求水準を定めているところでございます。また、その要求水準の中には、情報公開については区の条例規則に準じた取扱いをすることとしております。応募事業者が社会福祉法人であれば、社会福祉法を遵守することを求められておりますので、選定の基準にするべきとの点につきましては、井上委員ご指摘の視点を参考にさせていただければと思います。
また、指定管理者が社会福祉法に従って情報公開しない場合につきましては、法令に従った情報公開を行うよう区として申し入れさせていただきたいと考えます。
◆委員(井上ノエミ君)
次に、指定管理者の選考ですが、これは非常に慎重に行う必要があります。選考基準や選定方法を公開して、選定委員会をつくり、専門家や現場経験者の意見を入れるなど、十分な時間をとって行うべきと思います。また、利用者の意見も取り入れて、関係者が納得できる選定基準にすることが必要です。
既に、亀沢保育園の指定管理者は決定していますが、この選考過程はどうだったのでしょうか。今後も民営化は続きますので、選考方法について伺います。
◎子育て支援課長(浮田康宏君)
保育所の指定管理者を選定する際でございますけれども、指定管理者の指定の手続に関する要綱に基づきまして、原則として公募により実施しております。選定基準や選定方法についてもホームページで公開しているところでございます。選定委員会につきましては、墨田区指定管理者選定委員会設置要綱に基づきまして設置し、事業者の選定手続を進める過程で公認会計士や保育士、栄養士が専門的な見地によって事業者を評価しているところでございます。また、関係者が納得できる選定基準になるよう、当該園への保護者説明会を行いまして、また意見等をお伺いしながら、選定基準を含めて募集要項等を作成して行っております。
ご指摘の亀沢保育園につきましても同様な手続で進めておりますけれども、これまで保護者説明会の開催、また保護者宛ての通知などによりまして情報提供を行ってまいりました。今後もご指摘の点につきましては十分に留意しながら、事業を進めてまいりたいと考えております。
◆委員(井上ノエミ君)
今回の亀沢保育園の民営化については、非常に性急に行われているという批判があります。民営化になれば、当然先生も交代するわけで、園児が混乱することになります。移行時に子どもが混乱しないためにも、十分な時間をとって利用者の納得が得られる進め方が必要です。園児への影響をまず考えて、民営化の過程を考える必要があると思いますが、ご見解を伺います。
◎子育て支援課長(浮田康宏君)
亀沢保育園の指定管理者の導入による民営化につきましては、平成27年9月に策定しました墨田区保育所等整備計画を基に、保護者等への情報提供をした上で進めているところでございます。
園児が徐々に新しい環境に慣れていくための方策としましては、区と事業者とで保育の引き継ぎ期間を設けておりまして、亀沢保育園につきましては今年度から事業者の保育士が亀沢保育園の保育に参加するなどしておりまして、園児とも慣れ親しんできているところでございます。今後も引き続き、引き継ぎを入念に行いまして、円滑な事業遂行に努めてまいりたいと考えております。
◆委員(井上ノエミ君)
民営化後の指定管理者の保育園の運営については、特に透明性を高める必要があります。職員のローテーションや雇用形態、運営費の使用、指導監査結果に至るまで、積極的な情報公開を徹底するべきと考えます。
また、保育園と保護者の橋渡し役をする保護者組織を育成するために、指定管理者と区が協力することが必要です。新しい保育園を行政、保育者、保護者で協力してつくっていくべきと思います。墨田区として指定管理者に全て任せるのではなく、民営化のプロセスが完全に完了するまで面倒をしっかりと見る方針でやっていただきたいと思いますが、ご見解をお伺いします。
◎子ども施設課長(金子明君)
情報開示についてのご質問でございます。
区として、指定管理者の選定に当たりましては、職員のローテーションや雇用形態等の情報開示は条件としておりませんが、法人の運営理念や当該法人が保育園において適切な運営ができるのか、職員の配置や雇用形態、運営費等を総合的に判断しており、安心して子どもを預けることのできる法人を指定管理者として選定しております。また、指定管理者に対しましては、区の情報公開条例の趣旨に基づき、指定業務に関し、保有する情報の公開を積極的に行うための必要な規定を定めるほか、措置を講じることを求めております。また、各園においては、現場での対応といたしまして職員紹介の掲示等を行い、担当の明確化を図っているところでございます。なお、社会福祉法人には、社会福祉法による情報公開、福祉施設である保育園としては、東京都福祉サービス第三者評価のホームページ公開等も併せて行われていることを申し添えさせていただきます。
次に、保護者組織を育成するために、指定管理者と区が協力すべきことについてでございます。保護者組織といいますと、保護者会が考えられますが、現在、指定管理者の保育園5園、分園1園とございますけれども、そのうち0歳から2歳までの乳幼児対応保育園以外の4園については保護者会が設立されている状況でございます。必要な情報提供や行事等において施設の貸し出し等を行うなど、保護者組織を支援しているところでございます。また、保護者会から意見を伺うことのほか、モニタリングの一環としまして利用者アンケートを保護者にやっております。
あと、次に、指定管理者の運営の支援でございますけれども、こちらも定期的な園長会等の開催等、必要な積極的に指導支援を行っているところでございます。
○委員長(しもむら緑君)
以上で、新しいすみだの質疑を終了いたします。